大阪地方裁判所 昭和33年(ワ)3940号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕そこで信託法第一一条違反の抗弁について考察するに、証人羽東久雄、羽東あさの各証言、原告本人の第一、二回供述によると、原告は昭和三〇年夏頃羽東安次郎に対して四〇万円を貸与し、その後一八万円の弁済をうけたが、残額二二万円の支払をうけられなかつたので、その支払に代えて本件債権の譲渡をうけたとの事実が認められるかの如くであるが、原告が羽東安次郎に対して右貸金債権を有していたとの証言並びに供述部分は信用し難く、叙上の如く、原告が本件債権を譲受けるについて対価を払つたと認め難い事実に被告塩釜同古本(第一、二回)の各本人の供述、検証(第一、二回)(注、原告と被告古本間及びその他の電話録音テープ聴取)の結果(被告古本からかけた同被告と原告との電話による問答中、原告は羽東の依頼で羽東とお宅を訪れた、自分は自分の方針でやる、明日裁判所え行くが裁判所から出すべく内容証明郵便の原稿を今書いた、一応内容証明は羽東の名で行くが、後で債権譲渡をうけて今度は自分が債権者になるから自分が法廷に立つ、おんびんに話をつけるなら今の内につけなさい、金額も自分がやるんならちやんとしてあげる、羽東は半月程前に自分のところに来て頼んだ、自分は三百とは違うと言つてことわつたが、自分だつたら集金してもこの集金くれとも何とも言わんもんやから、マアー言うたらあの人は欲の深い事ですね、……只でしてくれるということは内の出入の左官屋の親方が困つた時に只で解決してやつた、そんな関係で内のは勉強して材料も安く手間だけでやつてくれる。羽東さんは市内で何か祈祷していて内の左官屋がその信者で私に話をもつてきた、自分は羽東は全然知らない、自分は明日は裁判所に行かねばならぬし、あさつては朝から永和迄明渡のため行つて晩迄帰れぬ、永和迄行つたら明渡の話で示談で勝負するし、出来ねば執行力あるしね、私はどちらにも味方しない、いい加減にしたらどうです云々と話していることが聴取される。)。原告本人の第二回供述の一部を綜合すると、原告は本件債権の譲渡人のため本件の債権取立の訴訟行為をなすことを主たる目的として、債権譲渡をうけた事実が認められる。そうすると原告に対する本件の債権譲渡は信託法第一一条に則り無効であるから、その有効であることを前提とする原告の請求は理由がない。(井上三郎)